膝に水が溜まった時の症状
水が溜まるってどんな感じ?
- 膝やその上のあたりが腫れているように見える
- 膝が重い感じがする
- 膝の曲げ伸ばしがしづらい
上記のような場合には、膝に水が溜まっている可能性があります。
セルフチェック方法
簡単なセルフチェック方法をご紹介します。判断が難しい場合には、整形外科を受診しましょう。異常のない方の脚と比べてみると、分かりやすいかと思います。
- 床に座り、脚を伸ばします。
- 片手を膝の少し上に当て、膝に向かって押さえます。
- 反対側の手で、膝のお皿を軽く押します。
- お皿が浮く感じ、膝の中に異物感がある場合には、水が溜まっているものと考えられます。
膝に水が溜まる原因
抜いた水から考えられる病気
水の色 | 原因 |
---|---|
赤色、褐色 | 骨折、半月板や靭帯の損傷 |
白濁色 | 痛風、感染症 |
半透明の濃い黄色 | 変形性膝関節症 |
膝に水が溜まる病気
変形性膝関節症
主に加齢を原因として、膝の軟骨が擦り減り、大腿骨と脛骨がぶつかり痛みが出る病気です。組織の破片が滑膜を刺激して炎症を起こしたり、水が溜まったりします。
中高年の方の膝に水が溜まっている場合、まず疑われるのがこの変形性膝関節症です。
半月板損傷
膝関節にある半月板という軟骨状の組織が、スポーツ・交通事故などによる衝撃によって損傷した状態です。
若い方、スポーツをしている方に水が溜まった場合には、半月板損傷を疑うことが多くなります。
滑膜の炎症
「膝に水が溜まる」という場合の「水」とは、関節液のことです。関節液は、滑膜の炎症によって多量に分泌されます。
スポーツなどによって摩耗した軟骨や半月板組織の欠片が滑膜を刺激することで、関節液の分泌が促進されます。
関節リウマチ、感染症、痛風
免疫細胞の異常によって起こる関節リウマチ、感染症、痛風などによる炎症を原因として、膝に水が溜まることがあります。
膝に水がたまった時の対処法
①水を抜く
整形外科などで、注射器を用いて水を抜くという方法です。
水の色を確認することは、診断や治療法の選択にも役立ちます。
②MRI検査
膝の状態を詳しく調べ、水が溜まる原因を特定することが可能です。
当院では、近隣施設にMRIを設置しておりますのですぐにご案内できます。
③原因ごとの治療
症状、診察所見、MRI検査、レントゲン検査などの結果をもとに診断し、治療を行います。
原因に対する治療を行うことで、膝に水が溜まるという症状の改善を図ります。
膝に水が溜まった時の治療方法
保存療法
薬物療法
痛みや炎症に対する痛み止め、抗炎症薬などを使用します。
運動療法
ストレッチや負荷の軽い筋力トレーニングなどにより、筋力・柔軟性のアップ、膝の安定感の回復を図ります。
関節液の除去
注射器を用いて、水を抜き取る治療です。
注射療法
変形性膝関節症に対するヒアルロン酸やステロイドの注射は、痛みを和らげ、膝の動きを改善します。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合には、手術が検討されます。
変形性膝関節症に対する関節鏡手術・骨切術・人工膝関節置換術、半月板損傷に対する縫合術・切除術など、原因疾患に合わせた術式が選択されます。
再生医療
損傷した組織の再生を促すことで、症状の軽減や膝の機能の回復を図る新しい治療です。
保存療法で十分な効果が得られない一方で、手術が受けられない・避けたいという場合に適しています。
特に変形性膝関節症や半月板損傷に対しては、有力な選択肢となります。
膝に水が溜まるのを予防する方法
膝に水が溜まるのを予防するためには、変形性膝関節症や半月板損傷を起こさないことが大切になります。
- 太っている方は、食事・運動習慣を見直し、適正体重まで少しずつダイエットをしましょう。体重による膝への負担を考慮し、運動はウォーキングやストレッチ、水泳などから始めることをおすすめします。
- 年齢を重ねると、筋力が低下します。筋力トレーニングにより、膝まわり、太ももの筋肉の維持・向上に努めましょう。
- 運動時の膝サポーターの着用、クッション性のある靴の使用なども大切です。サポーターの着用は基本的に運動時のみとし、安静時・就寝時には外しましょう。
- 筋力の維持・向上のためには、禁煙や禁酒・節酒も有効です。
よくあるご質問
水を抜くとクセになるって本当?
炎症が続けば、何度も水が溜まり、そのたびに繰り返し水を抜くということがあります。また炎症が悪化すれば、水を抜く頻度が高くなるということもあります。
ただ、膝の水を抜くこと自体が、水を溜まりやすくするということはありません。水を抜くことで、痛み・腫れなどの症状の軽減が期待できますので、我慢せず抜いてもらいましょう。
自然治癒する?
膝に水が溜まると、自然に抜けるということはありません。また背景にある変形性膝関節症や半月板損傷、関節リウマチなどが自然に治るということもありません。
整形外科での適切な治療によって炎症を取ることで、水が溜まりにくくなります。
何科を受診する?
膝に水が溜まっている・溜まっているかもしれないという場合には、整形外科の受診をおすすめします。
関節リウマチなどはリウマチ科や膠原病科で専門的な治療が受けられますが、身近なクリニックに相談するということであれば、やはり整形外科が第一選択になるかと思います。
当院では、MRI検査による即日診断、日帰りでの再生医療を行っております。お気軽にご相談ください。